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2007年2月24日

●姑息

患者の誤解招く用語も 本田 麻由美記者

 「『標準治療』という言葉を多くの人が誤解してるんです」「それが、患者と医者の意思疎通を邪魔してる。別の言葉に変えられないのでしょうか」――。がん対策情報センター運営評議会ワーキンググループ(WG)の会議で、何人かの患者委員からこんな声が上がった。

 このWGは昨年末、分かりやすい情報提供の手法を考えるため、患者・家族ら15人と国立がんセンター職員とで発足、私も参加している。

 「標準治療」とは、英語の「スタンダード・セラピー」の訳で、大規模臨床試験で効果が証明された、その時点で最も成績の良い治療法のこと。だが、患者委員たちは「〈並の治療〉と捉(とら)えている人が少なくない」と口をそろえる。

 うな重の「並」「上」「特上」にたとえると、「並」より「上」の治療を受けたいと思うのが人情だ。このため、本当は「上」にあたる標準治療を受けているのに、「並の治療では心配。新聞やテレビで紹介された〈最新治療〉が受けたい」という患者会への相談が多いという。〈最新〉と呼ばれる治療法は、研究中で、効果や安全性が科学的に証明されていないものだ。

 こうした誤解の背景には、一般的な印象が強い〈標準〉より、特別な語感がある〈最新〉の方が良いはずだ、という思い込みがある。そんな言葉の響きが不信感につながっている現状は、患者にも医師にも不幸だ。これは、がんに限ったことではなく、アレルギー患者会の代表も、「私も誤解していたのよ。分かりにくいわ」と言う。

 患者が誤解しがちな言葉は、このほかにもある。

 「姑息(こそく)的治療」は、がんを治すことはできないまでも、つらい症状を緩和して、生活しやすくする治療のことを言う。例えば、病状が進んで根治が難しい胃がんでも、食事ができるような手術をすることなどで、「姑息」という語感は悪いが、患者から見ると大切な治療だ。

 また、「医療用麻薬」は痛みを取り除くモルヒネなどのことだが、「麻薬」という言葉に抵抗があるためか、日本では使用量が少なく、痛み緩和の治療が進まない一因になっている。

 こうした医学の世界で使われている言葉を、患者視点でわかりやすく言い換えることも、検討すべきだと思う。だが一方で、定着しつつあるのだから、本当の意味を知ってもらえばかまわない、という人もいる。皆さんはどう思われるだろうか。
(2007年2月9日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/gantowatashi/20070209ik02.htm


正直に白状します。今まで姑息という言葉の意味を勘違いしていました。てっきり「卑怯」のような意味だと思ってました。「姑息な手段」という言葉の語感から勝手に思い込んでました。本来の意味は「一時しのぎ」という異味のようです。かなり恥ずかしいですが、、誤用する前に知ることができてよかったです。

こんな記事を後に発見しました。

病気の正しい理解が先決
本田 麻由美記者

 誤解を招く医療用語は、わかりやすい言い換えを検討すべきではないか――という前回(2月9日)の問題提起に対して、様々な意見をいただいた。

 科学的に効果と副作用が証明された、その時点で最も成績の良い治療法なのに、語感から〈並の治療〉と捉(とら)える人が多い「標準治療」という言葉について、東京都の山下みどりさん(50)は、「私も『最新治療』の方がいいと誤解していた」。「最新」と呼ばれる治療法は、研究中で効果や安全性が証明されていないことが多いため、「『実験治療』と言い換えたらどうか。それが無理なら、マスコミで取り上げる時に必ず説明をつけてほしい」と提案する。

 一方、茨城県に住む図書館司書の阿部宗徳さん(25)は、「『標準』の意味は『手本、模範』。『姑息(こそく)』は『一時しのぎ』であり、ずるい・卑怯(ひきょう)の意味はない」と解説し、「標準治療も姑息的治療も本来の意味を考えれば分かることで、語感が悪いというのは勘違い。医師がきちんと説明すればいいことではないか」と言う。

 これに対して、母親が乳がん闘病中のさいたま市の主婦(43)は、「患者・家族には、言葉から受ける印象が直接、気持ちや体調に響く。言葉の意味を理解しなさいと負荷を与えるより、普通の言葉に言い換える方が優しい対応ではないでしょうか」と指摘。脳腫瘍(しゅよう)を経験した30歳代の会社員も、「大抵の人は、自分が病気になったことを受け止めるだけで精いっぱい。少しでも患者の負担や誤解をなくすため、理解しやすい言葉を使ってほしい」と注文する。

 また、「『白血病』や『がん』には『死』のイメージが強く、聞いただけで動揺する」「死を連想させる『がん』という病名は、変えられないだろうか」という意見もあった。これについて、国立がんセンターがん対策情報センターの的場元弘医師は、「否定的なイメージで、患者の治療にマイナスになる言葉は変えるべきだ。だが、『がん』を言い換えても、治療やケアのあり方を前進させなければ、新しい病名にも同じイメージがついて回る」と指摘する。

 その通りだと思う。治療の選択肢を増やしたり、患者が情報を入手しやすくしたりすること。そして、患者でありながらも元気に活躍している人の姿を知ってもらうことなどを通じて、「がん」という病気への正しい理解を広めていくことが、言葉の言い換え以上に重要だ。
(2007年2月23日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/gantowatashi/20070223ik02.htm


こういうのも言葉狩りの一種でしょうか?「痴呆」が「認知症」になったり、「障害者」を「障がい者」と書いてみたりと・・・。私は基本的にこのような言い換えには反対です。記事中の言葉を借りると「正しい理解を広めていくことが、言葉の言い換え以上に重要だ。」だと思いますね。

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