●人工呼吸器関連の事故
少し前のニュースを引っ張ってくるが、人工呼吸器関連の事故のニュースがあった。
ひとつは千葉の国立下志津病院で20代の筋ジストロフィーの患者の男性患者の呼吸器の接続が外れ、意識不明の重態となったもの。おそらく心配停止の状態が長く続いたため脳の障害が残ったのでしょう。
もうひとつは埼玉のみさと健和病院で当時55歳の主婦の人工呼吸器が外れて死亡したというもの。
報道を見る限り、どちらのケースも警察が「業務上過失致死傷罪」の疑いで警察が動いているようです。
ここのケースを詳しく見てみようと思います。
まずは千葉のケースから。読売新聞によると
午後9時ごろに男性患者からナースコールがあったが、看護師が駆け付けたのは約10分後で、すでに心肺停止状態だったという。
だそうです。呼吸停止からだと約10分で、心臓停止からだと約3分で50%が死亡するといわれていますから、ナースコールが鳴ってから駆けつけるまで10分も掛かったと言うのは遅すぎると思います。
共同通信によると
下志津病院によると、昨年10月27日午後9時ごろ、人工呼吸器とマスクをつなぐ管が外れ、男性や同室の患者3人がナースコールをした。看護師が駆け付けた際には、容体が急変していたという。本人と同室の3人が同時にコールを鳴らしたようです。病院によって違うかもしれませんが、大体の病院ではナースコールを取ったときにマイクで用件を伝えられるようになっていると思いますので、同室の誰かがが「人工呼吸器のアラーム鳴ってるよ」と、伝えなかったのでしょうか?この病棟に人工呼吸器管理の患者が何人いたのかはわかりませんが、人工呼吸器患者のコールは最優先にしてほしいものです。少なくても私の病院では1分以内に来てくれます。と言うかそれ以前に人工呼吸器やサチュレーション(動脈血酸素飽和度)モニターのアラームは鳴らなかったのでしょうか?100歩譲ってナースコールを後回しにしたとしてもこれらのアラームを無視したとするなら問題だと思います。当時、病棟では看護師3人が勤務。午後9時ごろはナースコールが重なる時間帯で、別の部屋を回った後に駆け付けた。
ただ、当時病棟で勤務してた看護師は3人ということで、患者の人数や状態にもよると思いますが、看護師の人数が少なければ色々と無理も出てくるでしょう。無理のある勤務環境であったのであれば、看護し個人に責任を問うのは酷ではないかと思います。
次に福島の件について。毎日新聞の記事によると
同署などによると、女性は同年4月6日、右足骨折で入院。同16日、骨を固定する手術を受けたが、生理食塩水などの輸液を過剰投与され急性心不全を起こした。手術後、人工呼吸をしていたが、同日、病室で看護師2人が女性の体をふいていた際、女性が動いたため、気管内に通していた管がずれた。すぐに男性医師が駆けつけたが、ずれていないと判断。その後、チアノーゼの症状が表れ、約25分後に別の医師が再送管したが意識不明となった。死因は低酸素脳症による多臓器不全だった。清拭中に管がずれたのはやむをえないかと思うのですが、管がずれていたのに気づかなかった医師には問題があると言えそうです。
県警は▽看護師は女性が動かないように両手を押さえるなどの措置を怠った▽医師は管がずれたことに気付かず再送管を怠ったことなどが過失にあたるとしている。これはどうなのでしょうか。管がずれたことに気づかなかったのは確かに問題ですが、例え気づかなくてもサチュレーションの値が下がったことにすぐに気づけば死亡することはなかったと思います。ですからこのケースで問題なのはずれていることに気づかなかった医師個人ではなく、その状態に25分間も気づかなかったシステム上の問題だと思います。
同病院は「遺族とは示談が成立し、病院に刑事罰を希望しないとの要望書の提出も受けている。刑事罰を科されるものではないと確信している」としている。人工呼吸器管理には非常に高いリスクが伴います。だからといってミスが許されるとは思っているわけではありませんが、今後病院での人工呼吸器に関する事故すべてに刑事罰を科していくようになると、病院側もリスクを恐れるようになり、リスク排除のため人工呼吸器の患者は受け入れない、という病院が出てきても不思議ではありません。事実、近頃はこうした「防衛医療」の流れがだんだん広まっているように感じます。事故が起きたとき、逮捕されたり高額の賠償金を支払わねばならないことがある今の現状では無理もないかとも思いますが、ではハイリスクな患者はどうすれば、ということになってきます。
まとまってないですがここらで公開
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人工呼吸器事故@千葉
人工呼吸器事故@埼玉

