●医師確保奨学金まとめ
最近医師確保のために卒後縛りのある奨学金制度を設ける自治体のニュースがいくつかありました。以下関連するエントリー
地方の医師不足が深刻化する中、自治体なりにさまざまな手を考えているようです。岩手のとある自治体は赴任した医師に馬を一頭プレゼントするだとか(参考)・・・馬刺しにするくらいしか思いつきませんが。
自治医科大学という大学があります。僻地医療、地域医療の充実の目的に、各都道府県の共同の出捐によって作られた大学で、6年間の学費を貸与され、返還を免除されるには卒後9年間地域医療に従事しなければいけない。こんな制度の大学です。
各自治体の行っている助成金制度もこの自治医科大学の制度によく似ています。自治医科大学の問題点としては9年間の義務年限を終えた後の地元定着率が低いことがあるようです。また、早期に貸与金を返納してフリーになる人もいるようですが、これらの問題点は各自治体が行っている制度にも言えることだと思います。
たとえば千葉の3200万円ですが、医師不足に悩んでいるのは都市部の病院でも同じですので、場合によっては都市部の病院が貸与金を肩代わりして医師を引き抜くと言ったことも無きにしも非ず・・・。邪推でしょうか。
これはもうお金の問題では無いように思います。毎日新聞の連載『医療クライシス』によると研修医は研修先の病院を選ぶ際の基準として、給料よりもその環境を重視しているようです。
「医師の少ない病院は、当然雑用が増える。患者と接する時間があるのか、きちんと勉強ができるのか」
「未熟なのに即戦力にされるのは怖い。すぐ訴訟になる時代に、そんなリスクの高いことはしたくない」
「2年間の研修で、都市部の病院で働くメリットを感じた。多くの大学や病院があり、いろいろなやり方や考え方に触れられる。腕を磨くには地方より都会の方がいい」
人手不足の地方病院だと労働力として駆り出されるため十分に勉強する時間が無いので研修医が集まりません。一方人手が十分ある都市部の病院は研修の環境が充実しているため研修医が集まります。研修医にそのまま病院に残ってもらえば、新たな研修医にとって魅力的な研修先となり人手が集まります。
地方の病院は人手不足の悪循環に陥り、都市部の病院は逆に上に書いたような好循環となる・・・と言ったような構図が見えてきます。地方と都市部と分けるのは間違っているような気もしますが(地方でもがんばっているところもあるはず)、この悪循環をどこかで断ち切らないといけないと思うのですが妙案が思い浮かびません。
もちろん医療現場を取り巻く問題はこれだけではないと言うことはわかっちゃいますが・・・。
忍び寄る崩壊の足音/7 研修医「給料より勉強」◇人材育成力ある都会に集中
北陸地方出身で岡山県内の大学を卒業した男性研修医(25)が選んだ研修先は、出身地でも岡山でもなく、東京の大学病院だった。
出身県の病院の合同説明会。ある病院の担当者が「研修医が来てくれない。願書を出すだけでもいいから」と勧誘するのを聞き、地方の実情に衝撃を受けた。「医師の少ない病院は、当然雑用が増える。患者と接する時間があるのか、きちんと勉強ができるのか」と不安になり、一緒に行った友人とともに途中で退席してしまった。
現在の収入は月15万円程度。地元の病院に行けば倍になり、ボーナスもあった。しかし「今の大学病院には、専門分野を持つさまざまな先輩がいて、教わることができる。給料が低くても、今は出来る限りのことを勉強したい」と話す。
東北地方の大学を卒業した女性研修医(26)も、東京の大学病院を選んだ。「未熟なのに即戦力にされるのは怖い。すぐ訴訟になる時代に、そんなリスクの高いことはしたくない」と、医師が少ない地方の病院に行くことに不安があったという。出身大学なら1年に1回の大イベントとなるような有名医師を招いての勉強会も、東京では1カ月に1回程度あり、「まずは勉強」との思いが満たされる。
大阪市内の病院で働く男性医師(26)。生まれ育った四国の大学を卒業後、この病院で研修してそのまま就職した。「2年間の研修で、都市部の病院で働くメリットを感じた。多くの大学や病院があり、いろいろなやり方や考え方に触れられる。腕を磨くには地方より都会の方がいい」
医療研修推進財団の07年度版「臨床研修病院ガイドブック」によると、研修医1年目の給料は、大都市の方が地方より安い傾向にある。東京や大阪では月30万円未満の病院の方が多いが、多くの県では30万円以上の方が圧倒的に多い。それでも、多くの研修医は都会の病院を目指す。
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堺市の市立堺病院は、07年度の研修希望者が定員の9・8倍に達した。公立病院では全国有数の倍率を誇る人気だ。30年以上前から臨床研修病院としてノウハウを蓄積してきたことが、人気の秘密とみられる。東京、大阪以外の地方の病院でも、研修内容が充実した病院は人気が高い。
市立堺病院の男性研修医(29)は「この病院には医師を育てようという思いがあふれている。診療科の垣根も低く、研修医同士で知識を共有できる。ここで医師としての下地を身につけたいと思った」と語る。
同病院が研修に力を入れる背景には、医師確保対策もある。研修医にそのまま病院に残ってもらい、自前で優秀な医師を育てる体制を確立したいと考えているからだ。
田代扶美雄総務課長は「医師不足で診療を縮小・休止すると患者に迷惑をかける。患者に選んでもらう病院になるためには、まず医療従事者に選んでもらう病院を目指すべきだ」と説明する。
全国医学部長病院長会議で、地域医療に関する専門委員会の委員長を務める小川彰・岩手医科大医学部長は「こんな状況が続けば、地方の医師不足は目を覆うほどになるだろう。都市部の病院でも、医師を自前で育てるノウハウを持たなければ医師を確保できなくなる。病院の格差はますます広がるのではないか」と警告する。
毎日新聞 2007年2月2日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/crisis/news/20070202ddm002100040000c.html

