●これは期待できるのか?
脊髄損傷の治療薬が開発されるかもしれないというニュースがあった。ラットでは効果があったらしい。
損傷脊髄:ラットで再生に成功 かび抽出の物質投与 治療薬開発に期待--慶大などかびから取り出された物質をラットに投与し、切断された脊髄(せきずい)を再生させることに、慶応大と大日本住友製薬の共同チームが成功した。交通事故などによる脊髄損傷患者は国内に10万人以上おり、治療薬につながる可能性があるという。13日付の米医学誌「ネイチャーメディシン」(電子版)に掲載された。
中枢神経の脊髄が損傷すると、損傷部分より下部の脚などがまひし動かなくなる。脊髄の神経線維は一度切れると伸びないためで、「セマフォリン3A」というたんぱく質が再生を妨げる物質の一つと考えられている。
同製薬は十数万種類の化合物を調べ、地中のかびの一種から、このたんぱく質の働きを抑える物質を見つけた。01年から慶応大と共同で研究を開始。ラットの脊髄を背中で切断し、後ろ脚をまひさせた状態にして、切断部位にチューブでこの化合物を1カ月注入した。注入ラット20匹は約3カ月後に、神経組織の1割程度が再生して部分的につながり、後ろ脚のひざなどすべての関節が動くようになった。注入しなかったラット20匹は後ろ脚がまったく動かないままだった。
この物質による副作用はラットでは見られず、再生を妨げるたんぱく質も人間に共通している。慶応大の岡野栄之教授は「サルなど大型の動物で安全性や有効性を確認したい。症状が慢性化している患者の場合、神経幹細胞移植と組み合わせることなどが必要かもしれない」と話している。【下桐実雅子】
毎日新聞 2006年11月13日 東京夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20061113dde001040005000c.html
損傷した脊髄が再生しないのは再生を妨げる物質があるせいだというのは知られていたが、なかなか期待できそうなニュースだ。
もちろん、慢性期の患者で受賞後何年も経っている人の場合、神経がつながったとしても元のように動かすのは難しいかもしれない。だが、僕のように呼吸器麻痺がある患者がもし自分で呼吸することができるようになれば、QOLは相当向上するだろうし、腕をまったく動かせない人が少し動かせるようになるだけでもだいぶ違うだろう。
まだラットの段階で人間に適応できるかはまだわからないが、まぁ期待する価値はありそうだ。

