●医師不足、ついに掛川にも
掛川市立総合病院:夜間の救急診療、来月から一部休止 /静岡掛川市は8日、市立総合病院の夜間救急診療を10月から一部休止すると発表した。医師不足による労務負担の軽減が目的。開業医が輪番で診療を受け付けカバーする。
休止するのは平日午後5時から同10時まで。発熱や軽いけがなどは小笠医師会加盟の開業医が当番医制度で引き受ける。入院や緊急手術が必要な重症患者は受け付ける。
◇袋井市民病院も
袋井市民病院も10月から同様の夜間救急診療の見直しを実施する。【舟津進】
毎日新聞 2006年9月9日
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/shizuoka/news/20060909ddlk22100184000c.html
ついに掛川にも影響が及んだか、といったところである。
ついに、と書いたが医師不足の影響は数年前から出ていたようだ。2~3年前には産科が休診に追い込まれて急患どころか妊婦さんまでも転院を迫られたことがあるようだ。
産科医の不足はもはや全国規模の問題なので掛川市に限った事ではないのだが、ついに他の科にも影響が及んできたようだ。産経新聞の記事によると、
掛川市立病院の医師数は今月末で49人と4、5年前に比べ10人ほど減少している。このうち当直ができるのは内科系9人、外科系19人から1人ずつで、平均で、月に5回ずつ担当しているという。
らしい。月に5回の当直、とあるが
静岡県掛川市 掛川市議会会議録 平成18年第3回定例会(6月),06月21日-02号
http://kakegawa.gijiroku.com/voices/によると、
今掛川市立病院のお医者さんの場合、50歳以下の方が1週間1ヶ月に 4回から 5回の当直をやっていらっしゃいます。この 4回から 5回の当直の際は、夕方まで診察された上、一睡もしないで、夕食をとられて、また夜中をずっとおやりになりまして、またその次の朝、 8時半から勤務をしていらっしゃるわけであります。タクシーの運転手さんは確かに24時間やっておりますが、その翌日は完全にお休みでございまして、場合によったら 2日休んで、また次の日出るわけでありますが、掛川市立病院のお医者さんは、 1週間に一度ずつ、そういう過酷なことをやっているわけであります。ですから中には、もうこんな労働基準法違反の病院はたくさんだと、私のところへ、これでおれは、もう有給休暇を取るだけ取ってやめてやるというような、そういうお手紙をくださっておやめになるお医者さんも出てまいりまして、この方は今院長を不当労働行為だといって訴えられているわけであります。
途中1週間とあるところがあったがおそらく1ヶ月の間違いだと思うので、訂正しておいた。1週間に4、5回もこの条件で当直をこなせば間違いなく過労死してしまう。
しかし1ヶ月にしても多すぎる。一度人数が減り始めると(医師の減少→残された労働条件の悪化→さらに医師が減る)の悪循環である。ここまでことが進むと一筋縄では解決できないはずだ。
これまで、掛川市立病院は主に名大の医局に医師を派遣してもらってきた。
大学医局は全国にジッツ(ドイツ語のジッツェン[=座る]が語源だそうです)という関連病院を持っていて、院長などのポストを得たり医師を派遣したりしてきた。これを医局人事といって、ある種の強制力を持っていたのでマスコミはこれを医局マフィアなどと呼び叩いてきた。
「君には地方の関連病院にいってもらうよ」
これは医療ドラマでおなじみの台詞である。
この医局の医師派遣制度、さまざまな問題を抱えているのも事実だが、今まで地域医療を支えてきた面も大きい。
ただ、最近この医局の医師派遣制度が崩壊しつつあるらしい。
その原因とされているのが2004年に始まった新臨床研修制度である。
医師臨床研修制度
医師免許取得後、2年以上の臨床研修を義務付ける制度。厚生労働省が指定する病院から研修先を自由に選び、選考を受ける。免許取得直後に専門分野を選択せず、各診療科で研修することで、幅広い知識や診療を習得させるのが目的。救急外来など、初期治療を的確に行える医師を育成することが狙いの一つ。
従来、新人医師の多くは出身大学に残ったが、この新研修制度ができたことでより条件のいい都市部の病院に集まるようになった。都市部の病院の方が患者が多く、症例が豊富である(大学病院はその性格から特殊な症例が多い)ことや、給料が相対的に高いらしい。
このように医局の医師派遣能力が落ちているので病院が独自に医師を確保しなければいけなくなっている。
こんな中、三重県尾鷲市の病院が産婦人科医を年5520万円で雇った事は大きなニュースとなった。
年間2日しか休みがなく、ほぼ24時間拘束される条件で、この金額が妥当であるかはともかく、早急に手を打たねばならないのは間違いない。
話は変わるが、ここは実家から一番近い病院である。近い将来、地元に戻る事になったとき(今は福岡の総合せき損センターにリハビリ入院中である)お世話になる病院はほぼ必然的にここになるわけだが、このような現状から受け入れを渋られているのが現状である。

