●産科の崩壊
もはや今に始まった事ではないが、産科医の不足が問題になっている。
そのため、お産を扱わない病院が増えてきている。特に、地方に行くほど事は深刻なようだ。
かろうじてお産を扱っている病院の中にも産婦人科医一人でがんばっているいわゆる『一人医長』体制の病院も少なくは無い。
産科医不足の原因はひとつではない。苛酷な勤務環境、民事訴訟のリスク、安い報酬・・・となれば敬遠されるのも無理は無い。そのうえ、平成18年03月10日に福島の医師が帝王切開の手術中に女性を死亡させたとして業務上過失致死および医師法違反で逮捕されたのも大きな衝撃であったと思う。
この事件は癒着胎盤というとてもハイリスクな手術で、逮捕に際しては全国の医師から抗議の声が殺到した。素人の私から見ても逮捕はやりすぎなんじゃないかと思う。
この問題の根底にあるのは全国的な産科医不足があって、苛酷な勤務環境の下、身を尽くして働いてきた医師を逮捕するのはあまりに理不尽だと思う。
知り合いの産婦人科医によると、産科というのは夜中に厳しい症例が多く、緊急手術になることも珍しくないそうです。2日連続の徹夜の翌朝も意識朦朧の中、普通に診察や手術をこなす事も珍しくないそうで、休日でもいつ呼び出されてもいいように常に病院の近くにいなければならず、温泉やサウナへ行くときもビニールに携帯を包んで入るとか・・・。
私生活なんてあったもんじゃないね。家族持ちの人とか本当にかわいそうだと思う。
ここまで追い込んだのはひとつにはマスコミの医者たたきが原因だと思う。彼らには『医者=特権階級』の意識があるのか、たたかれて当然とでも思っているのかもしれないが、その結果産科や小児科、地域医療が崩壊して一番迷惑をこうむるのは一般市民な訳だから、マスコミはいい加減考えを改めるべきだと思う。
この現状にもはや特効薬はないとは思うが、今後若手が産婦人科医を目指しやすくする環境を整える事は絶対必要だと思う。勤務環境は医師の絶対数が少ない現状を考えると改善は困難かもしれないが、少なくても報酬面での改善は必要だと思う。
それと、女性医師が多いという面からも女性が結婚、出産後も働き続けられる環境を整える事は絶対必要だと思う。
そうでなくても現在医学部医学科入学者数の約半分は女性である。しかし、女性医師の離職率は男性医師の場合と比べて高い。結婚、出産を機にやめる人が多いからだ。これは非常に無責任だと思う。
医師という道を自ら選んだからには責任を持ってその職務を全うしてほしい。そこらのOLの仕事と同じように考えているのならば、産科のみならず日本の医療制度の根幹にかかわる。状況が改善しないようなら、医学部入学時点で男女比をある程度調整する事も必要だろう。男女差別などといっている場合ではない。

